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アマガエルを観察してみよう

日本には、およそ42種類のカエルの仲間が生息しています。それらの仲間は、現在各地で、数が少なくなりつつあります。身近に、みられるカエルの仲間が、どのような生活をしているかを、観察してみましょう。

ニホンアマガエルの生活

 
名称:ニホンアマガエル(Hyla japonica)(アマガエル科)

ニホンアマガエル

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カエルのからだ

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からだの特徴(とくちょう)

大きさは、3〜4cmぐらいで、メスの方がオスより大きい。前足に四本、後ろ足に五本の指があり、指先には、丸い吸盤(きゅうばん)があります。しかし、指の間のみずかきは、ほとんどありません。主に樹上で生活します。吸盤を使って、ガラスの面を垂直(すいちょく)に登ることもできます。
からだの色は、腹(はら)がわは白色で、背中側が、黄緑色で目の後ろに黒い筋のような模様(もよう)があります。からだの色は、まわりの環境に反応して、色を変えることができます。皮膚(ひふ)からは、刺激性(しげきせい)の物質を分泌(ぶんぴ)するので、さわるときは、注意が必要です。
分布

日本全国、朝鮮半島、中国東部、ロシア沿海州、バイカル湖周辺部
生活の特徴(とくちょう)

卵を産むとき以外は、水に入らず、主に、木の上で生活します。そのために、乾燥(かんそう)には比較的強く、森や林以外に、町の中にも住むことができるため、日本の他のカエルは現在少なくなっている傾向がありますが、アマガエルは、数を減らさずに、いろいろな場所に生活しています。
食べ物

肉食で、主に小さな昆虫類やクモ類を食べます。動いているものを捕まえて食べる性質があります。そのため、死んだものや動かないものは食べません。
生活史

春、5〜6月になると、水辺に集まってきて水の中の水草に産卵します。産卵時期になると、水辺の近くで、オスはのどの奥の鳴嚢(めいのう)という、袋をふくらませて、大きな声で鳴いてメスをよびます。鳴くのはオスだけで、メスは鳴きません。

卵は、日本に生息しているカエルの仲間の中では、最も小さく、大きさは、直径が約1.3〜2.0mmぐらいです。5〜30個くらいの、小さなかたまりとして、水の中の水草にくっつけて、数カ所にわけて、産卵します。一匹のメスが、500〜1000個の卵を産みます。

産卵場所 家の庭に、池や沼を作らずに、バケツやコンテナなどを利用して、人工的な水たまりを作り、水草などを入れておくと自然に産卵することが観察できます。
オタマジャクシから成体になるまで

アマガエルのオタマジャクシ
アマガエルのオタマジャクシは、目と目の間がとてもはなれています。
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足が生えてきたアマガエルのオタマジャクシ
オタマジャクシは後ろ足から先に生えてきます。水温やエサなどの環境によって成長の早さが変わります。何日ぐらいで足が生えるか記録しながら観察してみましょう。
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成体に近づくアマガエル
前足と後ろ足が生えそろうにつれて、尾がからだに吸収されて、短くなっていきます。目や口の大きさ、からだつきにも変化が現れます。呼吸の仕方もかわります。からだの色もうす茶色から緑色に変わります。(水中の酸素をエラで呼吸していたからだから、陸上の酸素を肺や皮膚(ひふ)で呼吸するように変わります。)
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成体に近づくアマガエル
足の指に吸盤が発達して、ガラスなどの壁を登ることができるようになります。水中生活から、陸上の生活に変わります。
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アマガエルの成体
吸盤を使って、主に草や木の上で生活します。からだの色は、基本的には黄緑色をしています。
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アマガエルはからだの色を変えることが出来ます

からだの色を変えたアマガエル
周囲の環境によって、からだの色を変えることが出来る仕組みがそなわっています。
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からだの色を変えたアマガエル
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文・写真:ミュージアムパーク茨城県自然博物館 早瀬長利
最終更新日:2009年3月14日

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